中国企業がカタール・ワールドカップのメインスタジアムの建設を受注! デザインはウェンブリー・スタジアムの改修も手掛けたノーマン・フォスター氏
2016年12月03日 コラム 施設 Written by 川内 イオ
2022年、中東で初めて開催されるカタール・ワールドカップ(サッカー)。本大会はドーハ、ルサイル、アル・ホール、マディナ・アッシュ・シャマル、アル・ワクラ、ウンム・サラール、アル・ラーヤンの7都市で開催され、ドーハの6つのスタジアムと各都市1つのスタジアム、計12会場で試合が行われる。
このうち、決勝戦と開幕戦が行われるメイン会場、8万人収容のルサイル・アイコニック・スタジアムの建設業者が決定した。
今年5月に入札が行われた結果、カタールの最高執行委員会は、中国国営の総合建設企業グループ、中国鉄建(China Railway Construction Corp.)とカタールの地元企業HBK Contracting Companyがジョイントベンチャーを組み、建設にあたると発表した。
ドーハから北に20キロに位置するルサイルシティに建設されるスタジアムは、昨年、イギリスの世界的な建築家で、「サッカーの聖地」とも称されるイングランドのウェンブリー・スタジアムの改修も手掛けたノーマン・フォスター率いるFoster + Partnersが設計すると発表された。入札価格は7億6900万ドル(約864億円)で、どんなデザインになるのか、その全貌はまだ明らかにされていないが、スタジアムの建設は今年12月からスタートし、2020年に完成予定となっている。
スタジアムはルサイルシティの西端に建設され、南側は商業地区の大通りに面している。スタジアム周辺も総合的に開発される計画で、路面電車や水上タクシーが走り、さらにブロードウェイのような映画館やレストラン、カフェ、ホテルなどの娯楽施設が集まる、中東では初めてのシアター・ディストリクト(劇場街)もつくられるという。
この計画を知って、ルサイルシティに行ってみたいと思うサッカーファンも多いだろう。しかし、今月8日、カタール・ワールドカップ大会組織委員会のサワディ事務局長が「大会期間中は会場内や周辺での飲酒を禁止する」という意向を表明。もし本当にアルコールが禁止されるとなると、これまでのワールドカップとはまた違った雰囲気になるのは確実だ。
ちなみに今年10月、日本スポーツ振興センターは新国立競技場の建設について、事業者と総工費1490億円で契約を結んだ。カタール・ワールドカップのメイン会場の倍近い金額と知ると、やはりなぜこんなに高額なのかと首をひねらざるを得ない。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
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