MLB最古の球場フェンウェイ・パークが増席を計画 選手と同じフィールドレベルの視点が得られる「ダグアウトスタイル」
2017年11月01日 コラム 施設 Written by 川内 イオ
アメリカのメジャーリーグ(MLB)、ボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パーク。100年以上の歴史を持ち、現在、MLBで使用されている球場のなかで最も古く、「聖地」とも称される球場が、新しい座席の設置を計画しているようだ。
レッドソックスを含むグループ企業フェンウェイ・スポーツ・グループがボストンのランドマーク委員会に提示した計画によると、その座席は「ダグアウトスタイル」と呼ばれ、一塁のベースラインに沿うようにグラウンドレベルに設置される。今ある最前線の席の前に、選手、監督が控えるベンチがもう一つ追加されるイメージで、この席はファンに「プレイヤーと同じフィールドレベルの視点」を提供するために作られる。
地元紙『ボストン・ヘラルド』は、既にボストンのランドマーク委員会の承認はおりており、今後、MLBからの承認を求めると報じている。
「ダグアウトスタイル」の座席は、クリーブランド・インディアンスの本拠地プログレッシブ・フィールドに導入されており、「ダグアウトスイート」と名付けられて最も高価かつ人気の席になっている。フェンウェイ・パークはまだ座席数など詳細は明らかになっていないが、アメリカのメディアによると約25席の新設が予想され、内部には飲食ができるようにバーも設けられるという。完成すれば、プログレッシブ・フィールドと同様、球場で最も高値の席になる見込みだ。
フェンウェイ・パークは収容人数が3万8000前後とMLBのなかでも少なく、チケットが手に入りにくいチームの一つとして知られる。2003年5月からチケットの完売が連続820試合という記録も持っている。しかし、まわりが高速道路などに囲まれているため球場を大きく拡張することができず、入場料収入が限られてしまうというマイナス面もある。「ダグアウトスタイル」の座席は、フェンウェイ・パークの古き良きスタイルを残したまま、スタジアムでの収益力を上げるための一つの策なのだ。
日本のプロ野球でも取り入れたら、プレミアチケットになるのではないだろうか。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
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