「F1 eスポーツバーチャルグランプリ」が視聴回数3000万回超!F1にどう生かせるか
2020年07月02日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内 イオ
新型コロナウイルスの影響で、3月以降に予定されていた6レースの延期、1レースの中止が余儀なくされたF1。苦肉の策で、PC版ゲーム『F1 2019』を使用した「F1 eスポーツバーチャルグランプリ」を開催したところ、大きな反響を呼んだ。
このバーチャルレースがユニークなのは、実際のF1ドライバーだけでなく、自転車競技で五輪の金メダルを7回獲得したクリス・ホイ、ゴルフ界のスターのイアン・ポールター、シンガーソングライターでワンダイレクション元メンバーのリアム・ペイン、クリケットの人気選手ベン・ストークスなどさまざまな業界から多彩なメンバーを起用したこと。
さらに、F1の公式YouTube、Twitch、Facebookチャンネル、中国のWeiboチャンネルやHuyaチャンネルなどデジタルプラットフォームでの配信に力を入れた結果、幅広い層の視聴者を集めることに成功し、全8回のレースで約2180万回の視聴に達した。
特にYouTubeでは大きな注目を集め、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインでは3月15日から4月28日までの間に視聴されたスポーツビデオのトップ5のうち、2位と5位にバーチャルレースが食い込んだ。
現役F1ドライバーも積極的に協力し、シャルル・ルクレール、ジョージ・ラッセル、ランド・ノリス、アレクサンダー・アルボンらは、Twitchを通してバーチャルレースに参戦中の自分自身を配信。これもファンから好評で、計270万回の視聴を集めた。
このバーチャルレースはテレビでも放送され、100カ国以上でおよそ500万人が視聴されたと推定されている。全8レースと併催されたプロエキシビションレース、#Challengeイベント合わせると、視聴回数は3000万回を超えた。
6月14日に閉幕した「F1 eスポーツバーチャルグランプリ」。この異例の取り組みから得た知見が今後のF1にどう生かされるのか、注目だ。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦』(文藝春秋)が発売中。https://amzn.to/2MKcg7g
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