スポーツ界で勢力を拡大するエージェンシーWME Sports、キリアン・エムバペと提携

2022年06月27日 コラム アスリートマネジメント/セカンドキャリア Written by 川内　イオ

今年5月、所属するパリ・サンジェルマンと契約更新し、2025年6月まで年俸5000万ユーロ（約68億円／推定）の3年契約を結んだフランス代表FWキリアン・エムバペ。

今回の契約には自身の肖像権を100％管理する権利も含まれており、今年6月にはハリウッドのタレントエージェンシーWMEのスポーツ部門Endeavourの子会社「WME Sports」と提携して、自身のコンテンツ制作会社Zebra Valley（ゼブラバレー）を設立した。

現地の報道によると、エムバペはゼブラバレーを通して、音楽、アート、テクノロジー、ゲーム、ユースカルチャーなどに関するコンテンツを制作し、サッカーの枠を超えて若者が集まるプラットフォームを築こうとしているようだ。

著名アスリートのエージェンシーとして、世界的人気を誇るラッパー、 ジェイ・Zがオーナーを務めるタレントエージェンシー「Roc Nation（ロック・ネイション）」のスポーツ部門、ロック・ネイション・スポーツがNBA（バスケットボール）のラメロ・ボール、NFL（アメリカンフットボール）のセイクワン・バークリー、イングランド・プレミアリーグ（サッカー）のケビン・デ・ブライネなどのスター選手と契約を結んでいるが、このWME Sportsも最近、次々とビッグネームを口説き落としている。

今年4月には、Netflixのドキュメンタリー番組『Drive to Survive』で大きく取り上げられ、人気急上昇のF1ドライバー、セルジオ・ペレスと契約を締結した。同社は2014年より、スタードライバーのルイス・ハミルトンとも契約している。

また、エムバペの契約と同じ6月、アメリカの大学バスケットボール界の有望株、ディオール・ジョンソン、サッカー・イングランド代表の伝説的ストライカー、ゲリー・リネカーが設立した会社「Goalhanger」のポッドキャスト部門との契約も発表した。

アスリートのエージェンシーとして、ロック・ネイション・スポーツと並び、WME Sportsも今後、勢力を拡大しそうだ。

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川内イオ●文　text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター＆ライター＆イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ』（文藝春秋）が発売中。https://www.amazon.co.jp/dp/4166613367/