マンチェスター・シティもチャンネル開設。注目のスポーツ動画配信プラットフォーム「Recast」

2022年08月02日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内　イオ

イングランド・プレミアリーグに所属するマンチェスター・シティは、スポーツに特化した動画配信プラットフォーム「Recast」に専用チャンネルを開設することを発表した。

このチャンネルは、クラブの定額制プラットフォーム「City+」を補完するもので、ドキュメンタリー番組から、プレシーズンマッチ、マンチェスター・シティ女子チーム、育成チームのライブ中継まで、さまざまなコンテンツが配信される予定。「Recast」では一つ一つのコンテンツに対して課金されるため、定額制の「City+」よりも低額で、ファンが見たいコンテンツをチョイスできる。「Recast」でのチャンネル開設を記念して、シティは7月24日に行われたプレシーズンマッチ、バイエルン・ミュンヘン戦（1-0）を放送した。

スコットランドのエジンバラに拠点を置く「Recast」は、独自の課金システムによってスポーツ界で存在感を増している。ユーザーは「Recast」に登録すると、100キャスト・クレジット（Recastのプラットフォーム内通貨）が贈られる。さらに広告を見たり、ビデオを共有したり、友人を招待したり、プラットフォーム上で直接購入したりすることで、コンテンツ視聴に必要な「キャスト」を獲得することができる。

「Recast」は収益の一部を配信側に還元することで、配信側もコンテンツ配信で収益化ができる。配信側は、支払い方法をリアルタイムで調整でき、イベントが終了するにつれて料金が安くすることで、最後の数分間だけ視聴したいと考えるユーザーを引きつけることもできる。

チェルシーの他、スコティッシュ・プレミアシップに所属するハイバーニアン、イングランド・チャンピオンシップ（2部リーグ）に所属するミルウォール、FIFA公認団体ビーチサッカー・ワールドワイド、DPワールドツアー（男子ヨーロッパゴルフツアー）、世界カーリング連盟などがオフィシャルチャンネルを開設している。ハイバーニアンは現地メディアに対して、18歳以下のカップ戦決勝を配信した際、課金したファンが「本当に多かった」と明かしている。

今年7月にはソーシャルメディアに300万人以上のフォロワーを持つゴルフ界のスター、イアン・ポールターが、オフィシャルチャンネルを開設。7月14日から17日まで行われた全英オープン選手権では、開幕に備えるイアン・ポールターの様子が独占的に配信された。今後はゴルフスイングのヒント、コツ、トーナメントの舞台裏のコンテンツが配信される予定だ。

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川内イオ●文　text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター＆ライター＆イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ』（文藝春秋）が発売中。https://www.amazon.co.jp/dp/4166613367/