ジンバブエのメディア企業「Econet Media」 さまざまなスポーツの放映権を獲得して話題に
2016年08月13日 コラム メディア/放映権 Written by 川内 イオ
ジンバブエに拠点を置くメディア企業「Econet Media」が、さまざまなジャンルのスポーツの放映権を次々と獲得して注目を集めている。
今年の4月には、NBA(米プロバスケットボールリーグ)と複数年契約を締結。2016-17シーズンから、サブサハラ地域(サハラ砂漠より南の地域)の49カ国で、NBAとWNBA(女子プロバスケットボールリーグ)の計500試合以上をテレビ、PC、スマホ、タブレットで有料放映を開始する。
(詳細は「NBAがアフリカ大陸に本格進出! スマホで500試合が視聴可能に」参照)
今年7月25日には、NFL(米プロアメフトリーグ)とも5年契約を交わした。放送のスタートは同じく2016-17シーズンからで、レギュラーシーズン中は1週間に最低5試合のライブ中継、プレーオフとスーパーボウルのライブ中継が含まれ、どの試合を放送するかは、Econet Media側が選択できる。ほかに、アメリカのスポーツメディア「ESPN」が制作するコンテンツ「Sunday NFL Countdown」なども放送されるほか、過去のNFLのアーカイブを利用する権利も付帯されている。放送地域は、現時点でサブサハラ地域の19カ国を予定。
Econet Mediaはほかにも、ここ数カ月でイギリスのサッカーのプレミアリーグとラグビーのプレミアシップ(トップリーグ)、電気自動車フォーミュラカーレース「フォーミュラE」、サッカースペインリーグのカップ戦「国王杯」、オーストラリアの男女クリケット代表の試合の放映権を獲得してきた。
なぜ、これだけの放映権を独占できるのかといえば、テレビだけでなく、広大なサブサハラ地域でパソコン、スマホ、タブレットでの配信ができる技術力があるからだ。
例えば、NFLは昨年、南アフリカの有料放送局「SuperSport」、ケニアの有料放送局「Zuku Sports」と放映契約を結んでいたが、1年でEconet Mediaに乗り換えている。
逆に言えば、技術力が高いEconet Mediaは9億7340万人の人口(2014)を抱えるサブサハラ市場を狙うスポーツ界の窓口のような存在になっているともいえる。
スポーツ業界の世界的な潮流として、スマホなどのモバイル端末への配信に力を注いでいる中で、Econet Mediaは今後、アフリカ大陸でますます存在感を高めるだろう。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
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