巡り合わせが実現させた大好きな“アルビ”での仕事(新潟アルビレックスBC 佐野裕文さん)~後編~
2016年09月28日 インタビュー その他 Written by AZrena
知られざるスポーツの裏側の情報を提供している「AZrena(アズリーナ)」に記事提供を頂いてお届けしている、大好きなスポーツの世界で働くことを実現させた方々に自らの体験談を話していただく本シリーズ。
熱狂と興奮を生み出すスポーツを愛する人が世の中に多くいる中、その世界に身を置いて働きたいと思う方もたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、スポーツ業界に入るためには、どうすればいいのか? スポーツの世界で働くということは、一体どういうことか?
今回は、プロ野球独立リーグのベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)に所属する新潟アルビレックス・ベースボール・クラブで広報を務める佐野裕文さんのインタビューの後編をお届けします。
前編はこちら⇒https://sjn.link/news/detail/type/report/id/61
地元・新潟で就職先を探していたとき、運良く新潟アルビレックスBCの求人を見つけ、さらには大学時代、池田拓史(現・新潟アルビレックスBC社長)にインタビューをしたことがあったことから、“巡り合わせ”を強く感じたという佐野さん。入社してから実際に取り組んでいる業務とは、一体どのようなものなのでしょうか?
(出典:AZrena「巡り合わせが実現させた大好きな“アルビ”での仕事。-新潟アルビレックスBC 佐野裕文さん」2016年7月28日)
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◆ツールの流行りに乗り遅れてはいけない
入社をしたのは2013年の10月で、8月頭に内定をもらい、その後2カ月は研修という形でホームゲームの運営に出る経験を積みました。そして、正式に入社した後も業務はそこまで変わっていません。
主な仕事は広報と運営の両方。あとは営業も少しやります。スポーツ界あるあるだと思うのですが、一人が本当にいろいろな業務をこなします(笑)。ですが、メインは広報です。具体的な仕事内容は各メディアさんの取材申し込みを受けて、選手と繋いで取材の場をセッティングしたり、スタジアムで広告を出す場所を考えたり、ホームページの更新もしたりします。あとは、ちょっとした記事を書くこともあります。
また、TwitterやFacebookなどのSNSの運営も自分の業務の一つです。かつては新入団選手の記者会見とかでUstreamを使っていたのですが、日本法人が撤退してしまったこともあり、今は稼働していません。以前はリーグとして一括でUstreamチャンネルを持っていたのですが、現在はサイバーエージェントのAbemaTVに動画配信の機能を移行しています。このように、時代が進むにつれて広報ツールも移り変わりますから、そこに遅れてしまうと大変です。広報である以上、そこのアンテナは張らないといけないな、と強く感じております。
新人オリエンテーションで前に立って話す佐野さん
◆地域の支えもあってチームが成り立つ
いわゆるプロ野球(NPB)とくらべて独立リーグはなじみがないものだと思います。試合自体は年間72~73試合で、ホームゲームは36~38試合。プロ野球の約半分です。やはりそのホームゲームの運営が、最も楽しくやりがいがあることです。
チームの社員自体も少ないです。試合ではほぼ全社員が出て運営をしているのですが、その中で私は放送室に入り、試合の進行係をやっています。スタジアムMCさんの台本も作ります。テレビ局でいうところのディレクターみたいな仕事ですね。突発的に何かがあった際、「ここで音を出してください」というような指示を出したり、試合がスムーズに進むように現場の音頭を取ります。最初のプレッシャーは半端じゃなかったですけど、ゲームをつくるというのを肌で感じられるのはすごく面白いですね。
営業については看板の広告をいくらで売るか、というようなスポンサー営業を主にやっています。ただ、私の場合は広報や試合運営が主な業務割合を占めるので、数社を回るほどです。担当するクライアント数はそれほど多くはありません。
ただ、担当クライアントが少ないながらも特に感じるのが、クラブは本当にクライアントの方々に支えられているというか、地域の方々に支えられているということです。広告の費用対効果ということを言われ出したら正直具体的なものを提示しにくいのですが、そういった状況でも、夢を持って『チームを応援したい』という思いで支えてくれる純粋な野球好きの方々がいる。だからこそ、チームは成り立っているのだなと思います。
そういう点でいうと、アルビのサッカーやバスケと比べて野球のファン数は少ないですが、その分熱心に暖かくサポートをしてくれているなとは感じます。とはいえ、野球のファンは野球だけ…というような形ではないのが、アルビの魅力でもあります。私設応援団の中心の人はもともとサッカーから入った人なんです! サッカーが好きでアルビをよく見に行っている中で、野球を見たらハマったとおっしゃっていました。そういう流れは非常に嬉しいです。
ただ正直、サッカー、野球、バスケが連携できているか?と聞かれると、100%相乗効果を発揮できているとは言えないところがあります。今後はそういう取り組みができればいいですね。サッカーとバスケに比べて、アルビの野球チームはなかなか認知されていないというのがあるんです。ですから、野球もあるということを一人でも多くの人に認知してもらって、会場に来ていただきたいなと思います。
実際、独立リーグという点の難しさもあると感じています。いわゆるプロ野球という最高峰がある以上、本当に能力の高い選手はプロ野球に行ってしまう。独立リーグのチームに所属して活躍をしたら、プロ野球に引き抜かれてしまうこともありますから。本当にスター性のある選手は上のレベルの舞台に行ってしまうので、お客さんを呼びにくくなるというジレンマもあります。
それでも、我々は上のレベルに選手を送り出したいという気持ちがあるんです。うちのチームからドラフトにかかってくれる選手が出てきてほしいと思いますし、外国人選手でいうと、昨年デニングというオーストラリアの選手がヤクルトに移籍したのですが、そういう選手を多く輩出したいですね。一方で移籍されてしまうとそれはそれで戦力が落ち、集客面にも影響が無いとはいえないのですが…。そういった点が、独立リーグならではの難しさですね。
◆スポーツ以外に関心をもつことが重要
大好きな地元で、しかもスポーツ界で働けることには充実感もありますし、喜びを感じています。この世界に入りたいと考える方も多いと思いますが、できるアドバイスは、“スポーツ以外にも関心を持って欲しい”ということです。
スポーツが好きというのは前提にあった上で、それだけとなってしまうと、この業界は狭いので、思考が埋没してしまうと思うんです。だからこそ、いろいろな事柄に関心を持ってほしいし、そういう部分を学んでいる人がこれからのスポーツ界において必要になってくるんじゃないかなと思います。違う視点から物事を考える、ということですね。多方面からこの世界に人が入ることで、もっと活性化されると感じていますし、それを強く望んでいます。
【了】
記事提供:AZrena
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スポーツの現場には、私たちが知らないことがたくさん存在する。
メインである“現場”はどのようにして成り立っているのか?
“スポーツ業界”とひとくくりにいってもどのような仕事があるのか?
チームや選手を支えるキーパーソンは誰なのか?
また、プロスポーツクラブのビジネス戦略はどういったものなのか…。
AZrenaではインタビューや動画、コラムなどを中心に、誰もが“誰かに教えたくなる”ような知られざるスポーツの裏側の情報を提供している。
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