40歳からスポーツ業界に転身し最前線へ。芦塚倫史が訴える、人脈やネットワークの重要性 ~後編~
2016年11月10日 インタビュー その他 Written by AZrena
SJNでは、知られざるスポーツの裏側の情報を提供している「AZrena(アズリーナ)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。
2002年に開催されたサッカーの日韓ワールドカップを機に、日本でもスポーツに関するビジネスやマネジメントが盛んになり、スポーツを仕事にする選択肢が増えていきました。とはいえ、10年以上が経過した今でも、スポーツ業界は「狭き門」と言われ続けています。そんな広いようで狭いスポーツ業界の中で活躍するにあたって、最も重要なポイントは一体どこにあるのでしょうか?
選手のマネジメントや協賛営業など、広範囲にわたってスポーツマーケティングを行う「オクタゴンジャパン」の代表を務める芦塚倫史氏のインタビュー記事の後編をお届けします。
前編はこちら⇒https://sjn.link/news/detail/type/report/id/96
広告会社で営業を務めていた芦原氏は、担当していた食品会社のCMにある元サッカー日本代表選手が出演したことをきっかけに、スポーツの仕事に興味を持つようになりました。その思いは強くなり、40歳にして思い切って仕事を辞め、リバプール大学のサッカー産業MBAコースへと留学することを決意しました。
(出典:AZrena「40歳からスポーツ業界に転身し最前線へ。芦塚倫史が訴える、人脈やネットワークの重要性。」2016年11月1日)
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■40歳からスポーツ業界へ挑戦。その道中を支えた数々の人脈とは?
今からすれば40歳の時の決断は間違っていなかったし、大した冒険でもなかったと考えています。54歳になった今でも自分には可能性があると感じていますし、20代や30代の若者と話をすると、彼ら彼女らは何でもできる可能性を秘めていると思うんです。
ただ、私は留学中に代理人になっても先が厳しそうだと感じてしまったので、それまで培ってきた経験を活かせる仕事に就こうと方向転換し、スポーツマーケティングの会社を目指しました。帰国してすぐに仕事が見つからず、しばらくの間アルバイト生活を送っており、新宿でバーテンダーなんかもやっていた時期もありましたが、最終的にはレアル・マドリードの日本におけるマスターライセンス事業会社へ進むことが決まりました。スポーツ業界で起業している友人に誘われたりもしましたが、やはり留学して得たものを役立てたいと思っていたので、海外と関連する仕事をしたかったんです。
レアル・マドリードは2003年から2005年まで、3年連続で日本に親善試合をしに訪れ、盛んにマーケティング活動を行っていました。そのうち2004年と2005年のマーケティング活動は私の在籍していた会社が契約を結んでいて、1年目はマドリードに3カ月駐在してクラブのサポートを行い、2年目は日本国内でスポンサーを獲得するために営業活動をしていました。
そのマーケティング会社を私に紹介してくれたのは、横浜FCの取締役やアビスパ福岡のゼネラルマネージャーを務めていた田部和良さんです。彼は古くからの友人で、残念ながらおととしに亡くなってしまいましたが、そういった人脈は本当に重要だと感じました。
オクタゴンジャパンに入ったのも人脈がきっかけでした。当社の前代表取締役の徳島匡さんは、もともとはIMG ジャパンというスポーツマーケティング企業で選手マネジメントをやっていて、2000年に創立されたオクタゴンジャパンの初代代表となりました。オクタゴンは私がもともと勤めていたマッキャンエリクソン博報堂と持株会社が同じ、企業グループの一つだったんです。そのことを知っていたので、留学前に徳島さんにぜひお会いしておきたいと思い、あいさつをさせていただきました。徳島さんには留学中のインターンシップ先の手配や、帰国後にもアドバイスをしていただきました。本当にお世話になっていた方だったのですが、2005年の夏に亡くなってしまいました。その徳島さんが亡くなった年の12月に、私がオクタゴンに入りました。
その時に私をオクタゴンに推薦してくれたのは、同じグループ会社の社長さんでした。レアル・マドリードのマーケティング会社への就職の時も含め、先輩や友人が間に入って情報提供や推薦をしてくれる機会が多かったなと思いますし、本当に人脈に助けられてきたと感じています。
■それぞれが持っている得意分野は、すべてスポーツ業界で活かせるチャンスにつながっている
オクタゴンはアメリカに本社がある企業で、主にスポーツ選手のマネジメントと、スポーツ協賛コンサルティングやスポンサーシップの権利活用など、広範でのスポーツマーケティングを行っています。過去にはフィギュアスケートの荒川静香選手や、現在スポーツ庁長官を務めている鈴木大地さんのマネジメントも担当していました。
現在は、BMXライダーの三瓶将廣選手をサポートしています。彼が活躍しているBMXは、2008年の北京大会から五輪の正式種目にはなっているものの、なかなか見る機会がなくレース環境も日本には少ないのが現状です。今後は三瓶選手が2012年に起業した一般社団法人「システマティックBMX」に支援をしながら、競技の普及などの裾野を広げる活動を行い、それと同時に五輪に出るようなトップ選手の強化育成に励んでいきたいと思っています。
メジャースポーツで活躍する選手のマネジメントで安定的な収益を上げることは非常に重要ですが、今はまだマイナーでもこれから可能性のあるスポーツの普及・育成や選手の強化にチャレンジすることも、やりがいのある仕事です。
自分自身はサッカービジネスからスポーツ業界に入り、サッカービジネスだけでやっていくという選択肢もありましたが、過去の経験を広く生かせるのはスポーツ全般に関わる仕事だと思っていました。私は対法人の営業をずっとやってきたので協賛販売などの仕事をしていますが、時々自分の扱っている商材がスポーツに関連しているだけで、本当にそれが純粋なスポーツの仕事なのか疑問に思うこともあるんです。
ただ、別の見方をすれば、それぞれが持っている得意な分野や今までやってきたことは、すべてスポーツ業界で生かせるチャンスがあると思うんです。『今までスポーツと全く関係のないことをやっていたからスポーツ業界に入ることは難しい』と思う必要は全くなく、どんなスキルでも生かそうと思えば生かせるはずです。興味のある競技や選手の近くであったり、ファンとのつながりの中であったり、自分が望む形で勝負をするチャンスはスポーツ業界に入った後でいくらでもあります。
そして、就職や転職といった人生のターニングポイントを迎えた際に必ず助けになってくれるのは、人間関係やネットワークです。スポーツの世界は本当に狭いですし、その中で人脈を構築しておくことは大きなアドバンテージとなるので、これからスポーツ業界を目指す方には一つ一つの出会いを本当に大切にしてほしいですね。
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<profile>
芦塚倫史(あしづか・ともふみ)
オクタゴンジャパン 代表
凸版印刷株式会社で社会人人生をスタートし、5年後にマッキャンエリクソン博報堂へ転職。その後、得意先企業のCMで元サッカー日本代表を起用する機会に恵まれ、スポーツマネジメントに関心を抱き、40歳でスポーツ業界への転身を決意。海外留学を経て、レアル・マドリードの日本におけるマスターライセンス事業会社に参画し、2005年末にオクタゴンへ入社。現在はオクタゴンジャパンの代表を務めている。
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【了】
記事提供:AZrena
取材協力:NPO法人スポーツ業界おしごとラボ(すごラボ)
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<AZrena(アズリーナ)とは?>
スポーツの現場には、私たちが知らないことがたくさん存在する。
メインである“現場”はどのようにして成り立っているのか?
“スポーツ業界”とひとくくりにいってもどのような仕事があるのか?
チームや選手を支えるキーパーソンは誰なのか?
また、プロスポーツクラブのビジネス戦略はどういったものなのか…。
AZrenaではインタビューや動画、コラムなどを中心に、誰もが“誰かに教えたくなる”ような知られざるスポーツの裏側の情報を提供している。
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