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【スポーツ×DEI】スポーツ業界の新指標「スポーツ版PRIDE指標(仮称)」を開発する実行委員会が設立。クラブ・リーグ・企業の持続性&関係人口の向上へ、業界のDEIを可視化全国800社が認定取得する指標のスポーツ版開発に向け実行委員会の募集を開始

2024年12月12日 Written by 管理者

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一般社団法人work with Prideとスポーツ版PRIDE指標実行委員会は、スポーツ分野のインクルーシブとクラブ・リーグ・企業の持続可能な発展に向けて、スポーツ業界の新たなDEI指標として「スポーツ版PRIDE指標(仮称)」を開発する実行委員会を設立した。今後、12月20日まで初期の実行委員会メンバーとして参画する企業・団体を募集開始するとともに、2025年8月頃の指標策定を目標に活動を開始する。

世界全体でDEI(多様性、公平性、包括性)が進む中、スポーツ分野においてはパリ2024大会が史上初めて男女同数が参加するオリンピックとなった他、欧米ではマンチェスター・シティやバルセロナ、バイエル・ミュンヘンをはじめとする名門クラブが女子チームや発達障害者によるチームを保有したりするなど、積極的にDEIを推進。その結果、企業がスポンサードしやすく、地元のLGBTQ+コミュニティとプライドマッチを実施するなど、スポーツと企業DEIの連携が進んでいる。また、オリンピックに出場するLGBTQ+アスリートが年々増加する一方(東京2020大会:186名→パリ2024大会:199名)、日本人選手は0名にとどまるなど国内では取り組みや環境整備が遅れている状況だ。日本人口の約8%、左利き・AB型と同じ水準でいるとされるLGBTQ+がスポーツに積極的に参画することで、ファンが多様化しクラブと企業・地域との関係性向上や競技人口の増加も期待されている。

スポーツ版PRIDE指標策定に向け実行委員会を設立
このような背景から、スポーツ分野のインクルーシブとクラブ・リーグ・企業の持続可能な発展に向けて、スポーツ業界の新たなDEI指標として「スポーツ版PRIDE指標(仮称)」を開発することになった。

一般社団法人work with Prideは、これまでLGBTQ+の人々が自分らしく働ける職場づくりを進めるため、全国800社が認定取得する職場でのLGBTQ+に関する取組評価指標「PRIDE指標」を策定し、年に一度、認定企業を発表する日本国内の企業・団体の人事・人権・ダイバーシティ担当者向けのカンファレンスを開催している。今回、スポーツ分野における新たDEI指標を開発するため、実行委員会を設立、企業やスポーツ競技団体、クラブ、LGBTQ+コミュニティ団体など全国からなる実行委員を募集開始した。

現時点で、日本オリンピック委員会とスポーツ庁の事業支援やプロスポーツ団体にコンサルティングサービスを提供するEY Japan、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、NPO法人プライドハウス東京の参画が決定している。今後、12月20日まで初期の実行委員会メンバーとして参画する企業・団体を募集、2025年8月頃の指標策定を目標に活動を開始する。

PRIDE指標の詳細・構想

これまで、企業とスポーツクラブ・リーグ・協会の連携は、企業の「マーケティング部」とスポーツ組織の「企業連携分野」、企業の「ダイバーシティ&インクルージョン」とスポーツ組織の「社会連携分野」といったように、ビジネスとソーシャル担当でそれぞれが分断されていた。これによりプライドマッチ等の啓発イベントやキャンペーン、DEI研修等を実施しても一過性で終わってしまい、組織全体への浸透や事業・収益への影響が限定されていた。

しかし、今回の新たなスポーツ業界のDEI指標となるスポーツ版PRIDE指標が目指す新しい連携の在り方では、企業とスポーツ組織の双方が、組織全体・横断的に連携することで、より包括的で持続的な取り組みに変わる可能性がある。この構想を通じて、スポーツ業界のDEIが可視化され、クラブと企業DEIの連携が促進することで、ファンやスポンサーの多様化・スタジアム集客だけでなく、協賛先のリスク管理や行政と連携した新規事業開発にも資する指標になることが見込まれる。

国内の最新DEI・PRIDE指標認定企業を発表する「work with Pride 2024 カンファレンス」内で発表

当日は今後スタートする指標開発の発表と併せて、スポーツ現場でのLGBTQ+の現状と取り組みをテーマにしたセッションを実施。実行委員会メンバーであるEY Japan代表の貴田守亮氏、ビジネスとの両分野でリーダーシップを発揮する鹿島アントラーズ(Jリーグ)代表の小泉文明氏の他、スポーツにおけるダイバーシティ推進に取り組む筑波大学体育系教授・日本サッカー協会常務理事の山口香氏、スポーツを活用した社会課題に取り組むAzitama代表で成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター副センター長の野口亜弥氏が、企業がスポーツ組織と協働するメリット・社会課題へのアプローチ方法などについてトークを行った。トークセッションの中で出たコメントは以下の通り。

貴田守亮氏:EY Japan チェアパーソン兼CEO
・EYは、「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」をもとに、スポーツの価値向上・循環モデルを通じてスポーツやコミュニティ、企業を連携させた経済活動の活性化が重要と考え、今回参画した。これまで、スタジアム・アリーナを核とした街づくりと活性化、女性アスリートの競技引退後の支援、パラアスリート雇用などスポーツを軸に、少子高齢化・過疎化が進む社会や地域をコンテンツ価値最大化による市場の成長余地の確保、事業複合モデルによる社会コスト減、官民連携推進などのコンサルティング事業を通して支援してきた。
・スポーツ・インテグリティに関するルールづくりも重要。選手一人一人の人権を守るきちんとした指標を策定し、実践することで選手からもファンからも選ばれるスポーツクラブになることができる。このような取り組みが国の全体の価値を上げていくと考えている。
・ビジネス界では、マイノリティがリードするビジネスに平等に機会を与えるサプライヤー・ダイバーシティや、サプライチェーンの中での人権や公正な取引の尊重を徹底するサプライチェーン・ダイバーシティを実現している企業が消費者、取引先、投資家から選ばれている。企業と同じようにスポーツ団体が変わっていくことで、誰もが暮らしやすい社会になるのではないか。

小泉文明氏:株式会社メルカリ President(会長)/株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー 代表取締役社長/公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)非常勤理事
・企業の競争戦略上でも優秀な人材を受け入れ、いい会社を作り、いいプロダクトを作るのは当たり前のこと。しかし、サッカー業界に来たら、全くそのような認識がなく驚いた。当初はコーチやマネージャー以上の役職に女性がゼロで、HR(人事)部門がそのような状況を分析・提言するような組織・文化もなかった。
・どのように企業とスポーツクラブ双方の価値を最大化できるか? クラブチームを中心に行政や市民、地域を越えたファン、パートナー企業などあらゆるステークホルダーがいる。相手の事業を理解して、企業が持つ技術などをクラブと一緒に社会にアピールすることを提案している。例えば防災の仕組みを行政と一緒につくっていく話も出ており、サッカーチームというより社会をどうデザインして変えていくのかというビジネスプロデューサー的な役割になっている。
・アントラーズには女性チームがないが、パートナー企業にどのようなメリットを提示できるかを設計した上で、チームをつくらなければ持続可能にならない。ビジネス観点が必要なので、PRIDE指標の認定企業のようなDEIに取り組む企業と一緒に組むことで参入がしやすくなる。

山口香氏:筑波大学体育系教授/日本サッカー協会常務理事
・特殊な環境にあるスポーツ界の常識は、社会の非常識だと言われることがある。スポーツ界はもっと社会と往来し、何が正しいか、社会の進んでいる方向を見ることが大事。もっと開かれた状態になるべき。一方で、スポーツ界はルールの遵守意識が高く、指標が大事。ルールづくりの過程に関われる環境をつくっていきたい。
・スポーツの力の一つは、発信力。言葉で伝えて理解はしていても、なかなか入ってこない。でも今の日本ラグビーのように多様性がチーム内で実現していたら、見ているだけで伝わる。プロデュース力のある企業と連携し、スポーツは現場で発信してアスリートが体現していくことが、いい循環となり社会に良い影響を与えていける。

野口亜弥氏:株式会社Azitama 代表/プライドハウス東京 アスリート発信チーム/成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター副センター長
・スポーツを通じた社会課題の解決が自身の研究テーマだが、スポーツには変えていく力があり、アスリートの声などスポーツ界が動くからこそ、変化を見せられる世界がある。一方で、不平等や多様性が受容されない仕組みがある。そこも一緒に変えていくことが、スポーツを通じて社会に貢献していくことだと考える。
・スポーツクラブの良いところは地域への密着。海外のプロリーグ事例では、各チームのDEIや社会連携担当がLGBTQ+研修を受けた後、各クラブにそれを持ち帰り、地域の方と一緒にLGBTQ+のプライドマッチをする取り組みがある。好きなクラブが多様性に取り組んでいることをきっかけに、自分もアライになりたいと意識が変わっていくはず。


■一般社団法人work with Pride ホームページ
https://workwithpride.jp/



記事元:PR Times


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