【大学スポーツ】マイナビとUNIVASがトークセッション「社会で活躍する“アスリート人材”とは?〜大学スポーツの可能性と運動部学生のキャリアを考える~」を開催
2022年06月20日 スポンサーシップ/パートナーシップ アスリートマネジメント/セカンドキャリア 育成,教育/スクール産業 Written by 管理者
株式会社マイナビが運営する『マイナビアスリートキャリア』と、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は、5月17日に大学の運動部関係者を対象としたトークセッション「社会で活躍する“アスリート人材”とは?〜大学スポーツの可能性と運動部学生のキャリアを考える~」を開催した。
同イベントは、2022年4月に帝京大学スポーツ局局長に就任した岩出雅之氏(帝京大学ラグビー部前監督)をゲストに迎え、株式会社マイナビ アスリートキャリア事業室室長・木村雅人氏、立命館学園副総長・立命館大学副学長/一般社団法人大学スポーツ協会理事・伊坂忠夫氏の3人が、大学スポーツの環境の魅力や学生を育成するにあたって意識していること、これからの時代において社会で活躍するアスリート人材を育成するために、大学運動部の指導者や学生自身に意識するべきことなどを話した。
トピック1:昔ながらの“体育会体質”の影響で運動部学生は自分の強みを正しく認識できていない
マイナビとUNIVASで実施したアンケートを基に、運動部学生が自分の強みをどのように認識しているかを発表。それに加えて『マイナビアスリートキャリア』がこれまでに行ってきた運動部学生たちの適性検査結果と比較。自己認識と実際の強みに大きな乖離(かいり)があることが明らかになった。
実際に身に付けたと感じている強みは「礼儀・あいさつ」「コミュニケーション能力」「上下関係の理解」「チームワーク」「体力」と答えているが、適正検査によると自己評価ではあまり目立たなかった「達成思考」や「チャレンジ志向」が上位になっており、自己認識と実際の適性に大きな乖離があることが明らかになった。
この現状について、岩出氏は「認識できている強みはこれまでの体育会体質の中にある“受け身”で得た能力。特に身に付けた強みで『リーダーシップ』を選んだ学生が少ないが、これからの体育会の魅力を強めていくためにも、リーダーシップを持って主体的に動ける人を育む必要がある。これらの能力を身に付けることで、試合の中での変化にも対応でき競技の強化にもつながる。(投影資料「運動部の活動を通じて身についたと感じている強み」の)上位項目と下位項目が入れ替わるような環境に大学スポーツはなっていく必要がある」とこれまで指導者をしてきた経験からコメントした。
岩出氏のコメントに対して伊坂氏から「リーダーシップという言葉の認識がずれている可能性がある。リーダーシップは『俺についてこい』と周囲を引っ張るだけでなく、もっと多様な価値観の中で周りを巻き込んで物事を進めていく能力。学生はチームメートや指導者だけでなくもっと広い視点で関わりを意識していくことが求められる」と補足が入った。
木村氏は新卒採用市場の視点から「現状、礼儀など運動部学生が認識している強みは企業側も共通しており、イメージと合致しているので有利な状態になっている。だが、それが本人たちにとって前向きなことかは別の話。運動部学生も企業も、運動部学生に対するイメージと実際に持っている強みの認識に乖離がある状態で就職活動を進めている」といったイメージ先行になっている運動部学生の就活の実態を説明した。
総じて、学生本人だけではなく、指導者や大学関係者、それぞれが時代の流れに合わせて指導方法や提供するカリキュラムをアップデートしていくこと、企業側も運動部学生の魅力を正しく理解していく必要があることが明らかになった。
トピック2:競技レベルが高くても運動部学生の大半は競技の第一線から退く意向であり、卒業後への意識付けが必要
前述のマイナビとUNIVASで実施したアンケートより、卒業後の競技との向き合い方についての意向では世界大会や全国大会に出ている選手でも、卒業後のスポーツとの関わり方については「引退」「趣味程度に楽しむ」という回答した割合が7割にも上った。
長年、トップレベルの選手を指導してきた岩出氏は「ラグビーでいうと、プロリーグの『リーグワン』ができ、今は即戦力の海外選手が来る。学生にとっては狭き門になっており、トップで続けたいと思ってもできない学生はもちろんいる」と説明。加えて、「40歳以降先の未来を考えろと学生に言っても難しい部分がある。そこで、35~37歳までの人生の描き方、その少し後も考えさせるように入学時から教育している。スポーツをやめた後のことを想像させ、競技と人生でそれぞれゴールを掲げるようにダブルゴールを考えさせるようにしてきた」とスポーツに励むからこそ、学生に対してキャリアをイメージさせる指導が必要であることを話した。
木村氏は「本質的な課題は、大学にスポーツを目的として入学している学生が多い中、スポーツをやめた後のイメージをつくる時間が足りていない。卒業後もスポーツを第一線で続けられるのは一握り。そして引退後も競技に関わる仕事に就くとなるとさらに少ない。本来は就活などのタイミングに考え行動する必要があるが、引退後のキャリアに向けて頑張る動機を見いだせていないのが現状。その動機をどうつくっていくかも考えていかないといけない」とアスリート人材のキャリアの実態についても言及し、大学を卒業した後、どのようにスポーツ以外への意識付けを行っていくのか、今後も議論が必要な状況だといえる。
トピック3:これからの“アスリート人材”のカギとなるのは指導者の在り方
木村氏は「アスリートは自分次第で就活や仕事の中で有利になる環境にいる」という見解を示し、「競技生活は常に自分を高めるプロセスがあり、短サイクルで結果がすぐに出る。それを面接でちゃんと説明できれば、企業から評価され有利だといえる」と発言。加えて、企業に求められている人物像として「本当の意味で主体性がある人材はこの先必要な人材。次のトレンドや製品を生み出す時代で、トップダウンではイノベーションは生まれない。課題を自分で考えたりアイデアを自分で考えたりと主体性が必要になる。またそれを実行できる人物が評価される。実際に採用担当が答える必要な能力としても上位にいる」と調査結果を交えながら説明した。
木村氏のコメントに対し伊坂氏は「運動部学生は日々の競技生活でさまざまな工夫を行うことで、社会で生かすことのできる基礎能力を培うことが可能だ。加えて、競技生活以外でも学業や社会の場において、スポーツで培った学びをどのように生かせるか考えることも必要。UNIVASではスポーツで培える能力を明確にし、その能力を別の場所で活かすための学びを提供する」と説明。加えて「これからの時代は学んで終わりではなく、アスリート人材もキャリアを積み上げながら価値観のアップデートをしていくことが重要。これは指導者も同じで、30年前のやり方を継続するのではなく、時代に合わせてアップデートしていくことが必要になる」と学ぶ側・指導する側それぞれの姿勢についてコメントした。
岩出氏は監督経験をもとに「世の中の要求が高まる中、実際の学生は昔に比べて幼くなっている。管理と放任のバランスをしっかりとり、うまく上級生が下級生の指導を行うように促し、上手く巻き込んでいく力をつくっていくか。指導者はバランスよく介入するようにしないといけない」と指導の在り方を提言。加えて「選手個人が自分を振り返る力を身に付ける」ことの重要性についても何度も言及し、選手が社会でも活躍するための育成の心得を伝えるとともに、常に指導者側のアップデートが必要になるといった見解を述べた。
登壇者全員が「スポーツ経験を通して得た能力により、世の中から評価される人材になり得る」といった意見を交えてこれからの大学スポーツへの期待を発言した。
■マイナビ×UNIVAS トークセッション「社会で活躍する“アスリート人材”とは?〜大学スポーツの可能性と運動部学生のキャリアを考える~」アーカイブ配信
https://www.univas.jp/article/348246/
記事元:PR Times
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