【Jリーグ】いわきFC、スポーツ庁による令和5年度スポーツ産業の成長促進事業「スタジアム・アリーナ改革推進事業」を採択
Jリーグ所属のいわきFCを運営する株式会社いわきスポーツクラブは、スポーツ庁による「令和5年度スポーツ産業の成長促進事業『スタジアム・アリーナ改革推進事業』(先進事例形成支援)」の採択を受けた。
「スタジアム・アリーナ改革推進事業」概要
スタジアム・アリーナ改革は、国が策定する「成長戦略フォローアップ」(令和3年6月)においてもスポーツの成長産業化の施策の一つとして位置付けられ、「多様な世代が集う交流拠点として2017年から2025年までに20拠点を実現する」ことが成果目標とされている。その成果目標の達成に向け、地域特性や選定の基準となる要綱等を踏まえた、他地域の参考となり得る先進的なスタジアム・アリーナ整備に関わる整備手法を含む具体的な構想・計画の策定支援を目的とする。
期間:2024年3月31日(日)まで
内容:スタジアム・アリーナの整備に係る構想・計画の策定および合意形成
地域の課題およびニーズの調査・分析コンテンツホルダー、運営・管理の専門家等へのヒアリング等を行い、これらの結果を踏まえ、スタジアム・アリーナ改革を通じて実現したいビジョン、具体的な中長期収支計画等を含む構想・計画を策定する。
背景:
いわきFCは、2022年10月にJ2クラブライセンスが交付され、2023シーズンからJ2リーグへの昇格を果たした。ただし、あくまでも施設基準における例外適用申請によるライセンス交付のため、J2リーグ以上のカテゴリーを維持するためには、以下のスケジュールでスタジアムの整備が必要となる。
・2025年6月末までに場所・予算・整備内容を備えた具体的なスタジアム整備計画をJリーグへ提出すること
・2027年6月末までに着工し、2030年まで(2031シーズンの開幕まで)に完成、興行開催が可能となること
そのため、いわきスポーツクラブが主体となり、行政や関連団体の支援・協力を仰ぎながら、Jリーグが定める理想的なスタジアム(①アクセス性に優れ、②すべての観客席が屋根で覆われ、③複数のビジネスラウンジやスカイボックス・大容量高速通信設備(高密度Wi-Fi等)を備えた、④フットボールスタジアムであること)であることに加え、福島県浜通り・いわき地域の未来を開き、地方中核都市の先進モデルとなり、日本のスタジアムビジネスを先導するような「新たなスタジアム像」を提示することが、本事業の最大の目標となる。
なお、本事業の採択を受けて、4月19日にいわきFCパーク内で記者会見を実施いたしました。以下、会見に出席したいわきスポーツクラブ 代表取締役 大倉智、ならびにご同席いただいたいわき市 内田広之 市長、いわき商工会議所 小野栄重 会頭のコメントを掲載いたします。
株式会社いわきスポーツクラブ 代表取締役、大倉智氏のコメント
「このたび、スポーツ庁による令和5年度スポーツ産業の成長促進事業『スタジアム・アリーナ改革推進事業』(先進事例形成支援)の採択を受け、契約予定者となりましたことをご報告いたします。本事業は、令和3年に国が発表した成長戦略フォローアップの13番目にあります『地域創生』の中に記載されている、『スポーツを核とした地域活性化』の重点事業となります。地域特性や選定の基準となる要綱等を踏まえて、他地域の参考となり得る先進的なスタジアム・アリーナ整備に関わる具体的な構想・計画の策定支援を国から受けることになります。国の委託調査事業となります。
現在、いわきFCがJ2で戦えているのは、内田市長のリーダーシップにより21世紀の森公園内のグリーンフィールドをJ2例外適用申請に即したスタジアムとして改修していただいたからです。つまり、われわれの保有するライセンスは例外適用申請によるJ2ライセンスとなっております。2025年6月末までにJリーグに『J2施設基準のスタジアム』の整備計画を提出しない限り、2026年はJ3へ自動降格となります。
少し私が妄想するスタジアム像をお話ししたいと思います。
これから協議会、分科会を立ち上げ、1年間かけてスタジアムの存在意義を『まちづくり視点』『ビジネス視点』の2軸からディスカッションしていきます。私が思う大切なポイントは、主語はいわきFCではなく、地域だということです。いわき市、双葉郡、浜通りを中心とする地域です。
そして、もう一つの大切なポイントは、場所ありきではなくコンセプトが全てということです。場所の議論から入ると、スタジアムの存在意義が後付けになってしまいます。我々の興行は多くても年間25試合です。スタジアムでコンサートやコンベンションが開催され交流人口が増えることは容易に想像つきますが、私は、スタジアムが地域にあるさまざまな課題を解決するものであってほしいと思っています。子育て、防災、環境、農林水産業、観光、文化・スポーツ、部活問題。再生可能エネルギー、水素、F-REI、アカデミア、UNIVASなどなど、キーワードはたくさんあります。スタジアムがさまざまな研究の実証実験の場となり、スタジアムが新たな産業を生み出す場になってほしい。そして、最終的にスタジアムがあることで、子どもたちの未来が輝き、人材が育つということです。まさに、スタジアムではなく『ラボ』のようなものです。夢のような話かもしれませんが、皆さんで知恵を絞れば、唯一無二のスタジアムが必ずできると思っています。
本日は、内田市長、小野会頭にもご出席をお願いしました。今後ご両名には、人づくり、まちづくりの視点から、またビジネスの視点からさまざまなアドバイスを頂きたいと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします」
いわき市、内田広之市長のコメント
「いわき市としては、いわきスポーツクラブ、そして、いわきFCをまちづくりのパートナーだと思っています。いわき市、双葉郡そして浜通りを、スポーツを通じて東北一の街にするというコンセプトに心から共鳴しております。いわきFCの勢いは、一つのプロサッカーチームの勝敗だけの話ではなく、人づくり、まちづくりにおいても大きく貢献するものと言っても過言ではありません。今回、スポーツ庁の採択をいただいたことは、今後のスタジアムの整備にむけて大きなきっかけになると思っております。このきっかけを大切にして、今後はさまざまな関係者と協議をしながら、コンセプトを練り、まちづくりを進めていきたいと思っています。
大倉社長は妄想とおっしゃっていましたが、これは妄想ではなく、実現できるものだと確信しています。従来の多くのスタジアムが、コストセンターと呼ばれておりますが、現在求められているスタジアムは、平日から商業施設、大学、ラボのような機能で稼働する複合型の施設。子育て、防災、部活動、医療、研究などさまざまな分野で、経済的のみならず、新たな知見などのさまざまなプロフィットを生み出していくものです。大倉社長の『新しい科学的な知見が生まれるラボのようなスタジアム』というコンセプトには共感しており、これが地域の創生、復興の総仕上げにつながるものになるのではないかと考えています。
いわき市では、若者の首都圏への流出が進んでおり、高卒時点で6割の方が流出してしまうという現状がございます。仮に若者が首都圏や世界に出ていったとしても、このようなスタジアムがあることで、またいわき市に戻ってきて挑戦したいと思ってくれるようになるといいと思います。本日ご参加になっている商工会議所をはじめ、経済界の皆さまとも連携し、今後もいわきFCを積極的に応援していき、未来を共につくっていくパートナーとして歩んでいきたいと思います」
いわき商工会議所、小野栄重会頭のコメント
「J1・J2要件を満たすスタジアムの整備はクラブにとって大きな課題でしたが、今回の採択を受けたことでスタジアム整備の道筋ができたことは、地域経済界にとっても明るい話題であり、大変喜ばしいと思います。私が目指している『世界に誇れる復興モデル都市』にもつながるものと受け止めています。
全国どこにもない、いわきモデルのスタジアムを期待すると同時に、全国各地からファンや観戦客はもちろん、視察が相次ぐような先進的なスタジアム計画となることを願っています。
コロナ禍からの復興、コスト高騰、人手不足など、地域経済は厳しい状況に直面していますが、若者人口の増加、地域経済の活性化につながるよう、商工会議所としても企業の叡智を集めながら、できる限りの応援をしていきたいと思います」
●このニュースの詳細はこちら。(いわきFC 公式サイトより)
https://iwakifc.com/news/2023/0419_022341.php
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